今年2回目の入院治療で新たな発見

前回の投稿(9月11日)からだいぶ間が空いてしまいました。

 

9月は12日から26日まで、第2回目の抗癌剤の治療のため入院していました。退院後の翌週10月からはPET/CT検査や、頭部と咽頭部・胸部・腹部・下腹部のCT検査などで通院の日々が続き、週末はJリーグの取材と、それなりに慌ただしい日々を過ごしていたからです。

 

その9月の入院では、8月の入院と同様にデカドロン(吐き気止め)の点滴に始まり、抗がん剤のドセタキセル、そして生理食塩水という1セット、1時間20分のコースという治療を受けました。抗がん剤のドセタキセルは、8月の入院に続いての投与となり、昨年10月23日から11月7日にかけて入院した際に初めて投与されたため9月で3回目になります。

 

本来なら2回の投与で1セットらしいのですが、昨年はがん細胞がかなり小さくなっていたため1回で済みました。

 

一般的に抗がん剤というと、「副作用」というイメージを抱く人も多いでしょう。「髪の毛が抜ける」とか「気持ち悪くなる」といった症状です。僕自身も、昨年6~7月の入院で投与されたパクリタキセルという抗がん剤では初めて髪の毛が抜けました。

 

抜けたのは髪の毛だけではありません。眉毛と睫毛に鼻毛を始め、体毛のほとんどが抜けました。ただ、幸か不幸か頭髪にはうぶ毛が残り、スキンヘッドにはなりませんでした(これを契機にトライしたい気持ちもありますが)。

 

抗がん剤治療は今年1月で終了して、その後は免疫療法に移ったため7月には髪の毛も元に戻りました。しかし8月からの治療で再び坊主頭になってしまったのです。

 

そして、こちらは幸いなことに「嘔吐感」とは無縁で、医師や看護師を始め体験者から話を聞いていた友人・知人も驚いていました。なぜなら抗がん剤を投与されたがん患者のほとんどが「嘔吐感」に苦しめられるからだそうです。

 

それ以外の副作用というと、白血球の減少による抵抗力の低下があげられるでしょう。これは誰にでも当てはまる現象だそうで、僕自身はこの抵抗力の低下による感染症から発熱し、朝晩1時間の点滴を1週間ほど続けるのが常でした。

 

さらに低下した白血球の数値が自然に上昇するのを待っていては、決められた次の治療サイクルまで間が開いてしまいます。このため白血球の数値を上げる皮下注射を1日1回打つのですが、この注射による副作用から腰痛にも苦しめられました。腰痛と発熱を抑えるための鎮痛解熱剤、カロナールにはずいぶんお世話になりました。

 

ドセタキセルによる副作用は他にもあり、これは僕個人の副作用だと思うのですが、昨年10月の入院中に、突然、病院食で出された鶏の唐揚げが気持ち悪くて食べられなくなったのです。唐揚げだけではありません。ささみ肉の入った冷サラダなど、肉類にしては匂いが少ないはずの鶏肉なのに、その匂いを受け付けなくなったのです。

 

それまで鶏肉は好物の一つでした。しかし昨年、退院後に友人たちと居酒屋へ行った際、手羽先とつくねは最後まで食べることができませんでした。年末のクリスマスイブには、これも大好物だったローストチキンのレッグを買ったのですが、1本を食べるのがやっとでした(例年は一度に2本は食べていた)。

 

抗がん剤で味覚が変わったことを実感しました。

 

そこで年末は、回転寿司に始まりうなぎ、焼き肉などを食べ歩いて「食べられないものがあるかどうか」を試してみました。幸いなことに鶏肉と煮魚以外は問題なく食べられることがわかり、ホッとして新年を迎えた次第です。

 

気がかりだったのは、1月にアジアカップの取材で訪れるカタールでした。中東ではチキンがポピュラーな食べ物です。カレーなどでもチキンマサラカレーやバターカレーが一般的でしょうし、ケンタッキーも日本ほど高くないのでよく利用していました。

 

しかしそのチキンがNGとなって食事はどうするか。カップ麺などのインスタント食品を多めに持ち込んだのですが、案ずるより産むがやすし。チキンの代わりにラムやマトンにかなり助けられました。

 

話を今年9月の入院に戻すと、今回は病院でもなるべくマスクを着用し、こまめにハンドソープで手洗いを敢行。そのおかげかどうかわかりませんが、初めて発熱することなく、白血球の数値を上げる皮下注射を受けただけで2週間の治療を終えて退院することができました。

 

発熱すると、1週間とはいえ左腕の静脈に針を挿入したままの入院生活はやはり不便ですし、朝晩1時間でも

点滴を受けると体力を消耗します。ケアすれば感染症は防げるかもしれないことを体験できた9月の入院・治療。ささいなことですが、「一歩前進したかな」という気持ちになりました。